ヤッツィー

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ヤッツィー

ヤッツィーYahtzeeヤーツィーヨットとも呼ばれる)は、ハズブロから発売されているダイスゲームである。5つのサイコロを振って、ポーカーの手に似た手(役)を作り、高得点を競う。

ルールの概要[編集]

プレイヤーは5つのサイコロを振って手を作る。手に応じて得点が得られ、より高得点を得たものの勝ちとなる。ルールの原理上では何人でも遊べるが、実際にはゲームの進行速度の点から、6人程度までがちょうどよい。

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ヤッツィーの手(役)は、主にフルハウス、ストレートなど、ポーカーの手を模したものとなっており、手の種類それぞれに点数が振られている。5つのサイコロ全てが同じ目である手をヤッツィーと呼び、もっとも高得点である。また、1回のゲーム中にヤッツィーを複数回出せばボーナス得点が得られる。

役の一覧[編集]

全部で13種類(12種類の場合がある)がある。得点についても記述する。

役の一覧
役名 説明 点数
1の目 任意の組み合わせ 1の目の合計
2の目 任意の組み合わせ 2の目の合計
3の目 任意の組み合わせ 3の目の合計
4の目 任意の組み合わせ 4の目の合計
5の目 任意の組み合わせ 5の目の合計
6の目 任意の組み合わせ 6の目の合計
上記の合計得点が63点以上の場合、ボーナスとして35点が加算される
チャンス (チョイスとも) 任意の組み合わせ すべての目の合計
3カード(スリーダイスとも)(無いルール有り) 同じ目を3つ以上揃える すべての目の合計
4カード (フォーダイスとも) 同じ目を4つ以上揃える すべての目の合計
フルハウス 3つの同じ目と2つの同じ目を揃える 25点(全ての目の合計)
小さいストレート (Sストレートとも) 4つ以上の目が連続している 30点(15点)
大きいストレート (Bストレートとも) 5つの目が連続している 40点(30点)
ヤッツィー(ヨットとも) 5つの目がすべて同じ 50点

ゲームのやり方[編集]

プレイヤーは5つのサイコロを振る。振った出目が気に入らなかったら5つのうち好きなものを選んで振り直すことができる。これは2回まで繰り返せる。2回目の振り直しでも、1回目にどのサイコロを振り直したかに関係なく好きなサイコロを選ぶことができる。こうして手ができたら、その手に応じた得点を得られる。ただし、それぞれの手は1度しか使うことができない。つまり、手を消費して得点を得ることになる。手が成立しなかったらどれかの手を0点として消費しなければならない。これをプレイヤー同士交互に繰り返し、全ての手が消費されたら、(つまり、13回ずつ手番が回ってきたら(12回の場合もある。))ゲームを終了し、総得点のもっとも高いプレイヤーの勝ちとする。

1人での遊び方[編集]

ヤッツィーはプレイヤー同士の駆け引きの要素が少ないゲームであるため、1人で遊んでも楽しむことができる。その場合は、理論上の最高得点を目指してゲームをすることになる。

歴史[編集]

ハズブロによると、このゲームは1954年にカナダ人のカップルが考案した。彼らはこのゲームを「ヨットゲームThe Yacht Game)」と呼んでいた。これは彼らが友人とヨットの上で遊んだことによるらしい。2年後の1956年、彼らは玩具・ゲームの販売員であったエドウィン・ロウに、友人へのプレゼント用にこのゲームのギフトセットを作ってもらえるように依頼した。このゲームの可能性を感じとったロウはゲームの権利をギフトセット1,000個で彼らから買い取った。この話はロウの1973年の著書A Toy is Bornに書かれている。ロウによれば、このゲームは当初、ルールや魅力のよく伝わらない広告のせいで、よい販売実績を残せなかったという。そこでロウは「ヤッツィー・パーティー」なるものを企画し、消費者に実際にゲームに触れて評価をしてもらう機会を作った。この企画は成功を収め、口コミでファンが増えていった。

しかし、ヤッツィーと同様のゲームはヤッツィー以前からたくさん存在している。例えば、プエルトリコのゲームである、ヘネラーラ英語版、イギリスのポーカーダイスやチェリオ(Cheerio)などがそうである。その中で特筆すべきは、ヘネラーラの亜種である、ヨットというイギリスのダイスゲームであろう。このゲームは1940年にクレメント・ウッドどグロリア・ゴダードによって書かれた本The Complete Book of Gamesに詳しく記載がある。このゲームは名前もヤッツィーと似ているが、ルールも得点の値など細部が異なるのみでヤッツィーとほとんど同じである。The Complete Book of Gamesでは、ヨットやその他の似たゲーム群を指してクラーグ(Crag)と呼んでいる。

ロウ社は1956年から1973年までこのゲームを販売していたが、1973年にミルトン・ブラッドリーがロウ社を買収し、ヤッツィーの販売も引き継いだ。ロウ社がヤッツィーを販売していた17年間に、アメリカを中心に全世界で4,000万個の売上げを記録した。2006年現在の販売元であるハズブロによると年間1,500万個の売上げがあるということである。

関連するゲーム[編集]

ヤッツィーというブランド名で以下のゲームが発売されている。Triple Yahtzee (1972年)、Word Yahtzee (1978年)、Challenge Yahtzee (1974年)、Casino Yahtzee (1986年)、Jackpot Yahtzee (1980年)、Showdown Yahtzee (1991年)、Yahtzee Texas Holdem' (2005年)、Yahtzee Deluxe Poker (2005年)である。

1970年代のアメリカのテレビ番組『Spin-Off』はこのゲームを題材としている。1988年には『Yahtzee』というやはりヤッツィーを題材とした番組がアメリカで放映された。

iPod版
エレクトロニック・アーツがハズブロのライセンスを受け、2008年2月にiPod用ゲームとしてリリース(iTunes Storeダウンロード販売)。コンピュータ相手や2人でのプレイも可。海外ではPDA携帯電話向けもある。
CLASSIC
従来型。
RAINBOW
赤・青のサイコロが混じり、役が増えたもの。
DUPLICATE
サイコロの出目が同じなため、振り直しの選択で勝敗が分かれる対戦モード。

ヤッツィーに似たゲーム[編集]

クニッフェル(Kniffel)
基本、ヤッツィーと同一。ダイスの図柄が描かれたカードを使うカードクニッフェル(Karten Kniffel)もある。
カチョ
ボリビアで人気が高いゲーム。ヤッツィーとほとんど内容が同じ。
キスメット(Kismet)
色のついたサイコロを用いるもの。出目と色によって得点が決まる。
レッド・ホット・ヨット(Red Hot Yott)
ファンデックスゲームズ(Fundex Games)から販売されているもので、1の目をワイルドカードとして使える。演出のために日本風の(つまり、1の目が赤く大きくなっているもの)を用いる。
フェーズ10・ダイス(Phase 10 Dice)
上と同じファンデックスゲームズから発売されているゲームで、カードゲームのフェーズ10のサイコロ版である。手を作り、高得点をめざす点がヤッツィーと共通している。
ポーカーダイス
トランプの絵柄の書かれたサイコロを用いて行うポーカー。
ヤム(YAMB)
6個のサイコロを用い、より複雑なルールをもつ亜種。起源は知られていないが、セルビア、クロアチア、ボスニアなどの旧ユーゴスラビア諸国で広く遊ばれている。
ヨット
ここではNintendo Switch用ゲーム『世界のアソビ大全51』に収録されているルールを紹介する。
役の名称が一部異なり、大きな違いとして「3カード」が無く、12回ずつサイコロを振ることが挙げられる。

外部リンク[編集]